ホドラム・ベルグストロンだ。
北海のスウェーデン王国の提督だがじつはほとんど海賊とかわらない。
そんなことではスウェーデン王国の名折れだ。
ということで最強の海軍をめざして北海より戦艦を漕ぎだし南下した。
地中海ではバルバロッサと戦うかいなか。
いちおう無駄な戦いをしたくはないので回避し、アフリカに向かった。
するとセラとなのる知的な眸と小麦色の肌、
つややかな黒髪の少女を救出した。
けれど彼女は私を最初海賊のなかまだと勘違いしナイフをふりあげて私は腕をけがしたのだが、誤解がとけて彼女の故郷をさがしおくりとどけることになった。
彼女は言葉がわからなかったが、次第方ごとを覚えていく。そんな彼女の得意技は料理だった。
さて奴隷商人エスピノサと私利私欲商会シルベリアを海の藻屑にし、新大陸にてスペインの非道な軍、
エスカンテ軍とマドレード軍を巧みにたおしたのちやっとインド洋にいたった。
せつな、ムスリル(イスラム教)のウッディーンがキリスト教徒である我々の船をおそってきたのだ。
私は彼とは戦いたくはなかったのだが致し方あるまい。
うけてたち、彼をおいつめた。あとひと息!
というそのとき、北海からの勅使がきて帰還せよとのこと、
急いで戻るとインド洋の大海賊を討伐命令。私は王命にしたがい、
ついでにインド洋の海を列強が自由に行き来できるように成り金王のナガプルクも討伐しておいた。
本当は本国に戻らなくてはいけないのだろう。
セラも知り合いが向いにきて私達と別れることになった。
私の夢は最強の海軍をつくることだがなんとはしに七つの覇権とやらもあつめることも夢の中にはいっていた。
なんとなく強い軍をつくるにはそれが必要だと直感が告げたのだ。
すでに新大陸、北海、アフリカ、インドの覇権は手に入れた。
インド洋の海賊をたおしたら戻ってこいという命だったが、苦戦しているとみせかけてもっと東に向かうことにした。
インドネシアにいたると、なんと北海でしりあった、女商人・リルのかたわれカミルが私に助けをもとめてきた。
なんと彼女はクーンにだまされて、ききに陥っているというのだ。
ほってはおけない。
私達は彼のみちびきによってクーンの魔の手におちる寸前の彼女を救い出した。
どうやらカミルとリルはなにかが切っ掛けで仲たがいしていたらしい。
けれど二人はもとのさやにおさまり北海にもどっていった。
さてクーンを倒すのは中国の海軍・マリアの提案だった。
マリアはクーンとポルトガル軍を闘わせて同士うちを望んでいたが、そんなまどろっこしいのは私の性分ではない。
私はクーンを滅ぼし、覇権をてにいれた。
なにも二勢力を敵にまわすことはない。
そして私達は極東までいたった。
マカオでふたたびマリアとであった。
彼女にはなにやら言い様にあしらわれ、利用されているようなきがするが、彼女の提案は悪くはなくむしろ私達に有利だった。
いま東アジアではある事件がきっかけで東アジアどうしの貿易はできなく、自国の海域以外にはでられない。
だから代わりにおれたちに彼女のかたきであるクルシマ一家を党閥してほしいのだという。
まあいいだろう。
そうすれば覇権の手かがりをくれるというのだから。
私達は日本の鉄船に苦戦しつつ、彼等を全滅させることに成功した。
しかし、覇権の手かかかりを手に入れるほうが大変だったようなきがしないでもない。
やっと東アジアの覇権をてにいれて、北海にかえろうとしたときマリアがまたあらわれた。
なにやら、オスマン・トルコの海軍指令、パシャ軍がキリスト教徒を滅するために動いているらしい。
私達は急いで北海にもどった。
そしてアフリカにいたると王命をたずさえた役人が訪れ、「パシャ討伐」命が正式にくだされた。
そこで何かをおもいだした。
「どうしました? 提督?」 わすれてたぞ、ゲルハルト。
「何を、です?」
海賊を本国にひきわたすのを、だ。
「………………本国に帰還しましょう」
というわけで、地中海を通り過ぎて本国に一路もどる私達だった。
王に海賊をひきわたすと、いまさらのことをいってきた。
七つの覇権をあつめれば名実共に最強の海軍になると。
………。
「はやくかえるべきでしたな」
いうな、ゲルハルト。
さて、パシャ軍の攻撃に備えて水夫をあつめるためにポルトガル・リスボンへ。
すると、チェーザレの奇声が港の方から聞こえた。
かけよってみると驚愕の表情でラティナ級の船をみつめていた。
そして
「わたしのエリシュオン号〜!」
そういって船に乗り込んでしまった。
「エリュシュオン号?」
ああ、チェーザレがさがしているという船のことか、というとみつかったのか?
「わ、なんだ、この男は! 盗賊か!」
と船の中からきこえてくる。そしてすんだ少年の声もつづく。
「え〜! 盗賊だって!」
まずい、誤解されてるぞ!
私とゲルハルト、シャルルにマヌエルはあわてて彼をひきとめた。
「ああ、すみません、とりみだしてしまい…」
「なんなんだよ、このおとこは」
「あ…」
きみは…
きみは、カストール商会の、ラファエル提督か?
「そういうあなたはスエーデンのベルグストロン提督…」
彼とは顔見知りだった。
一度目はこのリスボンでバイオリンを引いていた彼をみつけ、2度目は新大陸のハバナの森の奥で。
彼とは妙な縁があるらしい。
「……そうなんですか、僕達はこの廃棄船だとおもって修理してつかっていたんです。チェーザレさんの船だったんですか」
「ええ、難破してもうみつからないとおもっておいたのでありますが、こうやって見つけることができるとは、思いもしませんでした」
「でもおれたちもこの船がなければなにもできないしな」
「だめだよ、クラウ、もとの持ち主にかえしてあげなくちゃ」
「んなこと、いったってラフィ……」
「ね、チェーザレさん。この船はあなたにかえします。このリスボンのドラックにつないでおきます」
では、きみたちはどうするのだ?
「なんとかします」
にっこり笑っていうのだ。私はふ…とわらった。
「どこまでお人好しなんだよ…ラファエル」
「まあ、我らが提督らしいですけどね、」
「そりゃ、そうだけどよ、アルカディウス…」
「そう未練がましいと男の価値落ちますよ」
「う…」
カストール提督の良いところだな。
「え?」
「いや、カストール提督はホドラム提督に似ております」
ゲルハルト?
「匂いがおなじなのです。きっと、このカストール提督も大物になりますぞ。ああ、あなたに出会えて光栄でございます」
おいおい、ゲルハルと私のもとからはなれるきか?
冗談でいっているのだとわかる。彼もくすりとわらってまさか…と苦笑した。
「ねえ、ベルグストロン提督」
ホドラムでいい。
「ではホドラムさん。これからパシャと戦うのでしょう、僕達も応援します。がんばって下さい。あとこれはある人からきいたのですが、黒海にあたらしい街ができたようです。機械があったらたずねてください」
まるで、おしえられたようないいかただな?
「ばれてしましましたが。ええ。以前あったあのお姫さまにそうさりげなく伝えて下さいといわれてたので…」
セラのことか!
ラファエル君は微笑んだ。
その笑みはセラと重なる笑みだった。
パシャとの……イスラム海軍との決戦。
その途中南地中海のアルジェに寄港した。
アルジェ海賊のハイディンがパシャをうらぎって海戦に踏み切ったからだ。
アルジェにつくと、バルバロッサがちからなく、地面にしゃがみ込んでいた。
バルバロッサ
「なんだ、北欧の海軍の提督か…俺を笑いにきたのか?」
ちがう。
なぜ、パシャを裏切ったのかをたずねた。
するとかれは自嘲しながら答えた。
パシャがハイディン一家を海軍にとりこもうとしたこと、そして仲間がパシャ軍に寝返ったこと。そして敗戦のとについてしまったこと。
「おまえは、パシャと戦うのか? 戦うならみじめな負け方をしないことだな」
負けるはずはない。
私はひたりとバルバロッサのコバルトの瞳を見据えた。
彼はフッと鼻で笑い、
「これをもっていけ、パシャから臣下の証ということでもらった鎧だが、みているだけで吐き気がする!」
私達はアルジェをでてアレキサンドリアに向かった。
そして港につこうとした刹那。
大砲が空にとび、海におち、大きな波をおきた。
何ごとだ!
「パシャ軍がおそってきました! 奇襲です!」
どうする。
私は戦慄が胃のそこから沸き起こるのをかんじた。
準備もととのっていない今をねらわれるとは…。
「ホドラム提督、アレキサンドラからも砲撃が!」
しかし、その砲撃は私達の船をねらっていなかった、パシャ軍をねらっていた。
なぜだ?
「提督! 見て下さい! セラたちが砲撃をしているのです!」
セラの姿を物見台が報告する。
「味方をしてくれているのです! さあ私達も応えなければなりません! 各員、戦闘準備!」
「アイサー!」
戦いは互角、いやセラ達や、途中海戦に加わってくれたハディン一家の活躍もあって大打撃をあたえることができた。
「ホドラムっ!」
セラ!
駆け寄り抱きつく、彼女をおそるおそる抱き締める。
「ホドラム、海の王、わたし、力かすといった」
ああ、確かにだ。
「あいたかった。ホドラム」
セラは黒海にあたらしい自分達の街をつくったからみにきてほしいといった。
私達はその街をおとずれたが、どうにも危うい街だった。
オスマン帝国の軍隊が押し寄せたらすぐにでも壊滅しかねない。
私達は街を支援するために武器を調達してわたし、支援するために金貨を交易所などに投資して街を発展させていった。
そしてみんなの協力があって、すばらしい街ができあがった、いや王国が。
「ホドラムありがとう、みなホドラムのおかげ。あなたはやはり海の王…」 おいおい、そんなたいしたものではない。
「けれど、あなたはすでに七つの覇権をてにいれている、だから、そう。それになぜ、スウェーデンにもどらない? 要請でているはず」
それは、お前の国王をみまもってみたいとおもって…。
後数日で北海にもどるけれどな。
「北海…わたし、ホドラムの国を見てみたい……」
一緒にくるか?
セラはうなずいた。
スウェーデンに帰還した。
帰還すると王が私を海軍最高総司令官に任命するといった。
私に付き添った者たちは驚きと喜びの表情を浮かべたが、私は王にその申し出をことわった。
王はもちろんのこと、ゲルハルトやシャルル、マヌエルは驚いた。
「なぜですか、提督!」
たしかに私の夢は世界一の海軍を作り上げること、
そしてそれをなしえましたが、私が海軍最高位につくと、海のものはおそれ、いらぬ不和を招きかねません。
私が退役したときけば、みなはおだやかな航海がで、海軍最高も不動のものとなりえるのです。
私のわがままをおゆるしいください。
王はなにもいうことができず、うなずくことしかできなかった。
「ホドラム、私の国にきてほしい」
サラをみおくりに港までてた。
夕日が海面にかがやいて眩しい。
わたしはゆるりと首をふった。
それは、できない。
「どうして?」
わたしは海でしか生きられない男だ
。 そう、悲しい顔をするな、きっとあえる。
「ホドラム」
お互い後ろ髪をひかれる思いだった。
セラは一度ふりかえり、けれど頭をふって、自分の国の言葉でなにかを呟いた。
皆はそれぞれの国でそれぞれの仕事があたえられた。
マヌエルは製造の仕事を、シャルルは爆弾を研究することなど。
そしてゲルハルトには私のかわりに海軍総司令をつとめてもらうことになっていたのだが。
物さびしい感じのする船にのって、ふたたび、今度は自由気侭な航海にでようとすたときだ。
「さて、提督、どこのまちにいきましょうか?」
ゲルハルト!
ゲルハルトは満面な笑みをうかべた。
私は、海軍総司令をお前に……。
「なにをおっしゃいます。私に重荷をのせてお逃げになったのは誰です? それに私は海軍総司令にはむいておりませんし、第一他国のことです」
だが…。
「わたしは、提督とともに、いきたいのです」
私はしばらく、なにも言えずにいたが、笑いが込み上げてきた。 ふふ…はははは……。
ゲルハルトもつられてわらう。
女気の無い航海になりそうだ。
「なにをおっしゃいます。港によればこんないい男を婦女子はほっときませんよ」
笑みを隠すことができそうにない、私は笑んだ声で、ふなのりに命じた。
目的地は……!